心的外傷を受けた子どもへの心理療法

トレーナー:ラルフ・モーラ
      (アメリカ海兵隊岩国航空基地 岩国診療所(BHC)心理士) 

ワークショップ紹介:

多くの子ども達が今でも2011年の東日本における津波災害による彼らの生活と地域への衝撃に苦しみ続けている。これまでの研究により、治療的介入はこれらの子ども達の生活を向上させる意味を持つとされているが、この外傷が今もなお続いているという違いがある(点において、これまでの研究とは異なっている)。当ワークショップでは、心の弾力性を増強するという観点から、外傷を受けた子どもの問題について取り組む心理力動的アプローチに焦点化する。心の弾力性を強化することにより、子ども達は心的外傷に対処することを学ぶだけでなく、再外傷化されているという現実に取り組み続けることができるのである。子ども達は毎日、彼らの人生、そして家族と地域に起きた外傷による未解決の影響の中を生きなくてはならない。

軍人に使用されているパラダイムとの対比、比較もワークショップにおいて行う。彼らもまた初発の外傷への対処と戦場で繰り返される再外傷化への準備の両方を必要とするのである。初めに、力動的心理療法の効果についてのメタ分析的研究のレビューをすることでアプローチの論理的根拠が得られるとともに、治療の目標を規定するのに寄与するだろう。そして、合理的な治療目標を設定する上でもっとも重要とされる自我の強さのアセスメントをする初期対応の歴史の文脈で、外傷について議論する。個人、グループ、家族、そして地域へのアプローチを組み合わせた、複数のアプローチの絡み合いを強調する。それにより、それそのものが自己維持的であり、継続的な強さと弾力性の資源を子ども達や家族に提供できる、全体的な治療アプローチを提供することができるのである。メンタルヘルスは子どもに限定されるものでなく、地域全体に与えられると最も効力を発揮するとの提案である。

最後に、このワークショップでは地域に何か方向づけを与えられるような白書を提供できるよう試みる。この目標を達成するために、参加者には最後のブレインストーミングセッションの一時間において、それぞれのアイディアや経験を提供してもらいたい。最終ドラフトは筆者により構成され、全体としてこの学会に発案する。